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2008年6月 3日 (火)

研究を進める推進力

 M助教授と話していて、「結局のところ、研究を進める推進力って、問題意識だったり、楽しいって思う気持ちでしかないだろう」という話になり、激しく同意した。

 私がいま取り組んでいる研究の元々の動機は、移動に困っている人々に会った経験に基づいている。

 学生の頃、ボランティアで視覚に障害があるOTさん(作業療法士)のガイドヘルパーを2回だけした。そのOTさんは、病院に来られない人々の家を回ってリハビリをしていた。そのリハビリの付き添いの際に、私はかなり衝撃を受けた。その地域は大阪の下町で、細い道に小さな住宅がかなり密集して建っていた。小さな住宅の中に、寝たきりの高齢者や一人暮らしの高齢者が暮らしていて、OTさんを待っていた。ある30代ぐらいの男性は、事故で寝たきりになったらしく、首から上と足首から下しか動かなかった。その人は、光が差し込まない暗い部屋で、テレビを見ていた。それまで、私は、これほど困っている人がたくさんいるという状況を考えたことがなかった。こういう移動に困っている人々がいるのに、何で行政は、社会は助けないんだろう、という憤りを感じた。これが私の研究の一番の動機である。

 研究は辛い。本当に辛い。ミクロな目で見ると、こんなことをして何の役にたつんだろう、と思う。世の中の役に立っていないような気もする。でも、大局でみると、私が足を突っ込んでいる分野の研究成果は確実に世の中に還元されていて、世の中の仕組みを少しずつ変えている(例えば、コミュニティバス計画や事業評価、バリアフリーなど)。すぐに役立つものだけが、重要なんじゃない。すぐには役に立たないかもしれない、でも、何かの役に立てようという思いのもとに作ったものじゃないと、長い目で見ても役に立たない。小さくてもいい、世の中を少しでも変えていきたい、そう心の底で思いながら、研究を進めていこう。

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