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2009年3月28日 (土)

ふつうの町並みを残す

 春分の日に、以前勤めていた会社の先輩に会うために、金沢に行った。その日はたまたま先輩がお知り合いの大学の先生に金沢案内をするとのことだったので、私もそれに同行した。

 金沢の町中には古い建物がここそこに残っている。私の出身の福井市は、空襲でほとんどの建物が焼けた上に、大地震で壊滅的に町が破壊されたせいで、古い街並みが全く残っていない。そうした町の出身者にとって、金沢の街並みは憧れだ。

 街並みというのは、観光客を呼び込むような街並みだけが価値を持っているわけではない。ひがし茶屋街長町武家屋敷みたいなペラっとした映画のセットみたいな街並みを作ることも意義があることだと思う。だけど、それ以上に、歴史的に重要な価値はなくても、土地に根付いている普通の街並みを残すということが大事だと思う。ふつうの街並みを残すということは、その土地が積み重ねてきたふつうの生活を残すということにもつながっている。そうしたことは、グローバル化の名のもとにどんどん均一化されていく生活に、ささやかながら抗っていることでもある。

 今回、先輩の案内のもと金沢を散策して、金沢は普通の街並みが残っていて本当にいい街だと改めて感じた。

 以下は今回行ったところをメモメモ。

○尾張町の和菓子屋さん
 先輩が最初に連れて行ってくれた和菓子屋さん。暗くて古くて小さい店構えで、知らなければまず入らないようなお店。金沢なのに、全く観光客なんか相手にしていない感じが素晴らしい。ショウケースは二つあって、小さい方のには短冊のように色とりどりのかき餅がいっぱいに並べられていた。もう一つには、おはぎやおだんご、お饅頭がたくさん並べられている。和菓子は、お店の奥の方で昔ながらの道具を使って、すべて手作りされているみたい。あんこがしっかりとお豆の味がして、おいしかった。

Dsc00011 ○天然酵母のパン屋さん「大丸堂
 先輩のお友達が連れていってくれた天然酵母のパン屋さんは、寺町の路地に面した家のさらに奥にあって、知らなかったら絶対にたどり着くことができない。小さな店構えの路地の奥の方を入っていくと、天然酵母のパン屋さんが小さな店を構えている。とてもおいしそうなパンがたくさん並んでいたので、ついつい山ほどパンを買ってしまった。
 同行していた大学の先生によると、ドイツではパン屋さんは「悪魔の仕事」といわれるぐらい大変な仕事だとか。このお店の人も「朝3時から仕事をはじめて、焼きあがるのが11時」と言っていた。

Dsc00009_2CAAKの取り組み
 町屋を本拠地として若い人たちがやっている取組み。レクチャーをやったり、アーティストの宿泊を支援したり。レクチャーは毎回面白そうな人がやっているし、そのあとのパーティも楽しそう。blogを見てみたら、折り紙のイベントとか、いろんなイベントをやっているみたい。こういう活動、自由でいいなぁ。私もなんかこういう子どもと一緒に遊ぶささやかなイベントをやりたい。左の写真はCAAKの入口の土間。ここでレクチャー等のイベントをしているようだ。

Dsc00016 ○唐破風屋根の入口の銭湯
 唐破風は通常お寺とか神社に使われている形式。きっと銭湯って社交の場で「ハレ」の場という意味合いがあったから、唐破風が使われているんじゃないかと勝手に思う。いいな、唐破風。あの大げさな感じの曲線もいいし、「からはふ」って口に出して発音したくなる。私が住んでいるニュータウンには、唐破風のような曲線を持っている建物がほとんどないし、銭湯そのものが残っていない。

Dsc00012_3 ○三角屋根の教会
 寺町の三角屋根がかわいい教会。心惹かれて礼拝堂に入らせてもらった。壁には「定礎1960年」と彫られているので、作られてから50年近くの月日がたっている。すごく丁寧に使われている感じがする美しい空間だった。

○新竪町商店街にある「ちくは寿司
 一本120円から食べられる細い海苔巻。小さな小さな店構えで、おじさんが一人で切り盛りされている。注文を受けてから、その場で作ってくれるので、できたてが食べられる。ここには、小腹を空かせた若い子たちが次から次へと買いに来る。マクドの100円バーガーよりもちくは寿司のたこマヨ、そういう感覚を持って大きくなれる金沢の子ども達は幸せだ。

○屋台村のような飲み屋さん
 新天地の奥に、カウンター席しかない小さな店がたくさんひしめいている。連れてきてもらったお店は、マスターが一人で切り盛りされていて、どの料理もおいしい。お魚もおいしいし、お豆腐もおいしいし、豚足もおいしかった。4歳児の子どもを連れていくことを前もって言ってあったので、プリンを買ってくれていた。ここも絶対連れられてこなかったら入れないお店だ。

Dsc00019 ○横安江町商店街「collabon

 古い町屋を改造した雑貨屋&カフェ。作家さんのさまざまな作品が売っている。今回は覗いただけで帰ってしまったのだけれど、夏に来たときには財布のひもがゆるんでしまって、細々としたものをたくさん買ってしまった。写真はcollabonの看板犬。大人しい。

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 ここしばらく、春だというのに、花粉症のせいか、すべての物事に対してやる気がまったくなく、日々を無為に過ごしていた。好奇心もなく、やるべきこともやりたくなく、ダメ人間の見本みたいであった。啓蟄が過ぎて1か月以上経つというのに、土の中から出られなかった。

 でも、今回、金沢に行って少し気分が晴れて、やる気も少しずつ出てきた。やる気を出すためにも、時々こうやっていろんな人に会わないとね。私はやる気にむらがありすぎる。こうやって、少し意識して、いろんな人に会うようにしたい。ここ2,3週間の土ごもりのせいで、いろんなことが滞っていて、大変困ったことになっている。どうにか頑張ろう。


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