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2009年5月 2日 (土)

赤ちゃんは人生を楽しくいきたほうがいい

Child_care  2つ前の職場にいた時(つーか、どんだけ転職しまくり人生なんだ?)、職場の方々から産休の直前に「定本 育児の百科松田道雄著)」という本をいただいた。

 やたらと分厚い本で、表紙にはいかにも日本人の赤ちゃんという感じの写真。育児本なんてハウツーものとか教条主義的なものかのどちらかだろう、という気持ちで読み出したのだが、思いのほかこれが面白かった。内容も面白いのだが、文章に味があって素晴らしい。

 例えば、赤ちゃんの「消化不良」という項では、

母乳だけで育っている赤ちゃんが、1ヶ月ちかくなって「消化不良」で医者を転々と変えることがある。それは偏見のなせるわざで、赤ちゃんにとって、こんなめいわくなことはない。
母乳栄養がいちばんいいといわれて、無理にも母乳でそだてている母親は、理想主義者である。理想主義者である。理想的な栄養をしているのだから、赤ちゃんの便も理想的なのが出るだろうと思っている。(p108-109)

  「理想的な栄養」で「理想的な便」って、図星だ。私も母乳信者でしたから、この気持ちよくわかる。INPUTが良ければ、OUTPUTも良いはず、という 思いこみ。こわいこわい。病院まわりをしないですんだのは、この本を読んでいたおかげかもしれない。赤ん坊が少々熱を出していたとしても、ちょっと柔らかい便をしたとしても、赤ん坊がニコニコと元気よくしていれば、大概の場合病院に急いでかけこむ必要はない(むしろ、いろんな病気をもらってしまうかもよ)。

 赤ちゃんの「偏食」という項では、

人間の好みにかたよりがあってはならないという思想には、賛成できない。特別にあるものが好きであるという性質は人間にむしろ必要である。好きなものがあるという裏には、きらいなものがあるのはやむをえない。食べ物についても、同じことがいえる。
食べ物の味にたいする好みを、赤ちゃんの時代に無理にかえようとあせらないでいい。赤ちゃんの時きらいだったものを幼児期になってよろこんで食べるというのはめずらしくない。ある程度の努力はいいが、むきになってはいけない。(p355)

 たいがいの育児書には、偏食にならないような工夫ばかり書いてある。それなのに、この本ったら、偏食を肯定している。

 私自身は、食べ物に関して好き嫌いがほとんどないので、娘の好き嫌いにはほとほと困っている。トマトジュースが飲めるのに、しかもトマトソー ス、トマトケチャップは好物なのに、なぜ生のトマトが食べられないのか? 苺は大好きなのに、なぜ桃が食べられないのか? ニラが大好きなのに、ほうれん草が嫌 いなのはなぜか? でも、食べ物の好き嫌いも含めて、娘の個性なんだよね。だから、あきらめないようにしつつも、無理強いはしないようにってこと。

 子どものおやつについての項には、

おやつは子どもの楽しみである。人生は楽しくいきたほうがいいから、子どもにはなるべくおやつをやりたい。(p527)

なんて書いてある。「楽しみである」って断定が何か面白い。そうだ、おやつは人生の楽しさに結びついているんだ。これを読んで、子どもにおやつを与えるのが楽しくなった。この子の人生が楽しくなりますようにって、あげればいいいんだ。

 その他、この本の特徴は以下の通り。他の育児書をたくさん読んだわけではないが、本屋さんで見た感じでは以下の特徴がある育児書は多くない。

  • 月齢ごとに書かれているので、全部をいっぺんに読むのではなくて、該当する齢だけを読めばよい。
  • 赤ちゃんがニコニコしていれば、無理に病院に連れて行く必要はないという姿勢。結構、他の育児書には怖い病気ばかり書いてあるので、母親を不安にさせることが多い。
  • 集団保育について、結構なページが割かれていること。赤ちゃんを保育所に預けて仕事に行くお母さんを安心させようという意図が感じられる。
  • 離乳食、子どもの食事の準備にあまり時間をかけなくてよいと書いてあること。食事の準備に時間をとられるよりも、子どもと遊んであげることが大事であること。
  • 他の人の助言はそれほど役にたたないこと。多くの人は限られた子どもしかみていないし、子どもは個人差が大きいので、参考程度に聞いた方がよいと書いてあること。

 ただし、著者の松田道雄氏は故人であるため、1998年以降、内容が更新されていない。そのため、保健所や産婦人科で教わることと異なるところもある。例えば、この本のとおり離乳食を与えると、少し早すぎるような気がする。

 amazonで調べたところ、私がいただいた単行本版はもう売られていないようだ。代わりに文庫本が出されている。

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コメント

FC2にて、ブログを再開しました。
よろしくお願いいたします。

松田道雄のこの本は、名著とされていますね。
我が家にもあります。

5月から、丹波の研究所に3日/週出かけます。
明日の5日が初日です。
片道2.5時間・・・信じられない!
週末は千里の事務所にいます。

投稿: 不良中年 | 2009年5月 5日 (火) 00時37分

>不良中年さん
お久しぶりです。
FC2のブログ、見ています。Doblogは大変でしたね。
今後もよろしくお願いします。

「育児の百科」、不良中年さんのお宅にもあるんですか?
ひょっとしたら、うちの母も知っているのかも?
Amazonのレヴューを見ても、親子2代で読んでいる人とかも多いようです。

丹波の研究所通い、大変ですが、楽しそうです。

私も昔2時間ぐらいかけて電車で明石まで通っていました。
瀬戸内海を見ながらの通勤は結構楽しかったです。
その頃の方が、まとまった読書時間が取れていたような気がします。

投稿: ぴか | 2009年5月 7日 (木) 12時59分

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