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2009年7月13日 (月)

管理社会における妄想と現実の境目

 テリー・ギリアム監督の「バロン」を見た。オットがamazonで1200円と格安で手に入れたのだ。大人二人で見たら、映画館で見るよりDVDを手に入れた方が安い。便利な時代になったものだ。この映画は、ほら吹き男爵の冒険の実写版である。

 4千万ドルという天文学的な制作費をかけながらも、興行的には大失敗に終わった映画らしいのだけど、めちゃめちゃ面白かった。ファミリー向けという名目なので、子どもに見せられないような直接的な描写はないし、ハッピーエンドで終わる。でも、子どもに見せるのはおススメできない。

 劇中劇が多用されているので、どこまでが本当の話で、どこまでが嘘の話なのか分からない。1980年代の作品なので、CGは使われていなくて特撮が使われているのだけど、それも虚実混ぜ混ぜの雰囲気を醸し出していてよかった。CGだときれいすぎて、胡散臭さが出ないだろう。三日月を登るシーンとか素敵だった。

 キャスティングもよかった。バロン役の俳優さんの怪しい感じ(私は嘘なんかつかない、と言い切ってしまうところとか)、子役が子役らしくまっすぐで我がままでかわいいところ(この子役さん、大きくなったら左翼活動家になったそうな)、18歳のユマ(ウマ)・サーマンの美しさ。

 Wikipediaによると、「バロン」、「未来世紀ブラジル」、「バンデットQ」は3部作で、「ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」という共通テーマを持っている。高度に管理された社会は、傍目からみてびっくりするほど喜劇的であるにも関わらず、非常に不気味で悪夢的で、残虐な行為でさえも静かに淡々と行われて、冷酷さも感じさせない。

 「バンデットQ」は見ていないので、「未来世紀ブラジル」の感想もついでに。この映画の後味の悪さはすごいよ。あまりにも絶望的なエンディングであるため、アメリカではラストシーンをカットされて、ハッピーエンドとして公開されたらしい。あのバッドエンディングが、この映画の価値を高めているのに。圧倒的な絶望感だよ。でも、このエンディングにまつわるエピソードそのものが、統制された管理社会のぶざまさを表しているともいえる。そして、随所に流れるボサノヴァの名曲”Brazil"の能天気なメロディ。メロディが能天気であればあるほど、この映画の悪夢的な雰囲気が際立つ。

 

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