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2009年12月 7日 (月)

備忘録(ロールズ 正義の原理)

 論文修正だけしていると、気が滅入って仕方がないので、少しだけ現実逃避するために、本を読んでいる。完全に関係のない本だと、逃げすぎなので、少しは関係しそうな本を。

 で、本の中で、面白いと思った部分を引用しておくと、あとで面白いかと思い、備忘録代わりにメモ。感想などは、また後日追加するかも。

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 善ないし幸福を「合理的人生計画の成就」ではなく、「みずからに備わる力量の発揮」というアリストテレス風の観点に立って考察することもできる。その場合、人間は自分の力量の活用を享受する。この喜びは、力量が実現されればされるほど、それが複雑になればなるほど大きくなる。また善い人間は、秩序ある社会の構成員にとって、その仲間に加えたいと望むのが合理的であるような、道徳的人柄に関する諸特徴をもっている。

 そこで大切になってくる幸福の要素が「自尊心」である。これは二つの側面をもつ―自分自身に価値があるという感覚、および自己のもくろみを果たす能力に対する自信。反対に秩序とは、ある人が自尊心を傷つけられたときに抱く感情以外のものではない。

 正義や<正しさ>の諸原理が原初状態において選択されるべき原理であるのに対して、合理的選択の諸原理は原書状態での選択の対象ではない。善・幸福についての各人の構想が異なることは、それ自体望ましいことだが、<正しさ>の構想に関してはそれはあてはまらない。また正義の諸原理は無知のヴェールに制約されるのと違い、ある人の善の評価は諸事実に関する完全な知識に拠りどころを持っている。

(川本隆史:ロールズ 正義の原理、pp150-151、講談社、2005)

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 「正義論」の中にある、「愛の冒険」という章に書いてあることに、少し驚いたので、引用。
社会倫理学の本にこんなこと書いてあるなんて。恋をしたことがない人には、この文章を実感を持って理解することができない?

互いに愛し合う人々は同時に破滅に陥りやすくなる。
愛する者たちは、自分たちを他者の不幸や不正義の人質として差し出す。
友人や恋人同士は大きな危険をおかしても互いに助け合う。
いったん恋をすれば、私たちは傷つきやすくなる。
恋をしているとき、私たちは傷つくことや損害をこうむることの危険性を受け入れる。
けれどもそんな「愛の冒険」に賭けている場合だと、私たちは自分たちの愛を後悔しないし、愛への決断をのぞましいとも考える。
こうしたことは、秩序ある社会における愛に、またしたがって正義感覚にもあてはまるだろう。
だから正義感覚を保持することは、合理的で望ましいことなのだ、と。
(同上、pp157)

(追記)他者とつながろうとしたら、自分を傷つきやすい(vulnerable)な状態におかないといけないって、金子郁容先生も「ボランティア」で書いていた。自分は傷つくことがない完全な人間だと思っていると、他者とつながることができないって(本を探すのが面倒なので、うろ覚え)。一人一人が傷つきやすさを保持して、傷つきやすさへの理解がないと、社会がうまくいかないのかなぁ(って、浅すぎる感想ですが、ちゃんと書こうとすると難しすぎるので)。

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