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2011年4月23日 (土)

引越しの理由はだいたい100個ぐらいあったのだけど、よく考えれば何一つなかった

638776159c3942899e28bc001c2610be_7  この四月に、奈良市民になった。今は、奈良の旧市街地にあたるところに住んでいる。引越し前までは大阪の北部の千里ニュータウンに住んでいた。

 引越しの朝、娘が「お引越しというより長い旅行に出る感じがするー。荷物をたくさん持っていきすぎる人みたい!」と言った。家の中を空にするなんてやりすぎだと思うが、私も似た心境だった。ひょっとしたら戻ってきてしまうかもしれない。そんな思いで引越し準備をしていた。引越しをする理由はたくさんあった気もするが、よく考えれば何ひとつないのと一緒だった。

 引越しの前夜には、娘が住み慣れた団地の風景を見ながらご飯を食べたいというので、寒い中、ベランダで身を寄せ合って夕飯を食べた。娘はそれまであまり引越しの実感がなかったようだけど、家の中が段ボールの箱が山積みになって初めて実感したようだ。

 千里ニュータウンには6年いた。特に計画も覚悟もなしに住んでいた。そして、風のふくまま、気の向くまま、奈良に引越しを決めてしまった。そんな私でも、もうニュータウンの風景を見ることが日常ではなくなると思うと、少し感傷的になった。団地の中の計画的に配置された公園、みどりの多い遊歩道、近所で仲良くしてくれた方々のことなどを思うと、手放してはいけないものだったのではないかと思えてきた。でも、引っ越してしまえば、日々の日常に寂しさを紛らしてなんとか楽しく過ごせる。今までだって、そうやって居場所を転々としてきた。

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 新しい家の近くには、佐保川がある。佐保川は桜並木で有名で、4月の初旬は桜が満開で見事だった。お弁当を籠につめて、夜桜を見に出かけた。今は桜並木は葉桜になっている。そして、すぐに新緑に変わるだろう。東の方向を見ると若草山が見える。若草山は三笠山とも呼ばれていた山。毎年1月に山焼きが行われる。

 歴史ある佐保川と若草山とはまるで違うけれど、私は、自分が住む場所にこういう小さい川と小さい山があると安心する。川と山を見ると足羽川と足羽山に重ねて見てしまう。金沢にいる時は、犀川と卯辰山を。京都にいるときは、鴨川と比叡山を。

 私はどこにでも住める根なし草であるけれど、足羽川と足羽山に見立てることができるものがあれば、なおのこと安心して住める。千里ニュータウンは便利で、友人知人が多くて愛着はあったのだけれども、川がなくて物足りなかった。

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 そんなこんなで、しばらく奈良にいるつもり。先のことはわからないけれど、できることなら、子どもが大学に入るくらいまでいようと思っている。

 佐保川と若草山のある奈良の旧市街地が娘の原風景になるといいなあと、勝手に思う。多分、娘は、大人になったらこの土地から出ていく。多分、彼女も土地と生業が結びついていない人間になり、いろんな土地を転々とする人生を送るだろう。そうなった時、自分の心の中にぼんやりと「自分が懐かしく思う風景」というものを持っているということは、心を安定させるものを持っていることになるのではないかと思う。特定の場所にいる理由がなくとも、自分にとって居心地のよい場所だと思えたら、それは幸せなことなんだ。
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■写真:氷室神社のしだれ桜

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