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2012年9月21日 (金)

他人の日常に入り込むことほど、非日常感を味わえることはない

 少し前に、ささやかな用事があって鳥羽に日帰りで行った。

 一時間だけ鳥羽駅の周辺をぐるぐると歩いた。

 鳥羽駅を出ると、すぐ海が見える。潮の香りがする。

 鳥羽駅周辺は適度に寂れていて、日曜日だというのに歩いている人を見かけなかった。
 海沿いのウッドデッキでできた遊歩道も誰も歩いていなかった。商店街ですれ違った人も数人だった。

 駅近くに、「漂白の詩人伊良子清白の生家」があった。
 私はまったく知らない詩人だったが、鳥羽では重要な詩人なんだろう。
 豪邸とはいいがたい木造の小さな住宅だったが、華美ではない全うな建築物の雰囲気が清々しくてよかった。
 国宝に指定されているようなものでなかても、こういう普通のものを保存しているというのは、街の歴史にとって重要なことだと思う。
 私の知らない街は、私のよく知らないその街固有のものを積み重ねて街の歴史を作っている。
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 商店街には、御木本真珠のお膝元なので、真珠屋さんが多く、ショウケースには真珠でできた五重塔が飾られていたりなんかして、商店街の寂れ具合と対照的だった。
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 商店街をしばらく歩くと「日和山登山道入り口」の看板があったので、少しだけ登ってみた。
 登山道の途中には普通に人が住んでいて、草引きなんかをしていて、挨拶をされた。
 ちょっと登ってすぐ降りてきたので、「もう帰ってきたの?」と驚かれてしまい、少し恥ずかしかった。
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 商店街から川沿いの遊歩道を歩いて、駅に戻った。海がすぐそこなので、川からは潮の香りがする。こういう、観光客向けではない何の変哲もない細い道を見つけると嬉しくなる。(ここはきれいに舗装されちゃっているけど)
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 いかにも観光らしくピカピカと整備された場所に行くよりも、誰かの日常に部外者として入り込む方が非日常感があって楽しい。こんなところにそっと入り込んでいいんだろうかというドキドキ感を感じた。

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