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2013年6月 3日 (月)

読書会レジュメ「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 」

研究室の学生さんと読書会を始めた。

都市計画を専門とする者としての「広い教養を身につけたい」というのが目的。

そんなわけで、一冊を詳細に読んでいくのではなく、毎回、各人が自分のお気に入りの本の概要を紹介するという感じ。

レジュメはきっとどこかに消えてしまうだろうから、自分の記録として、ブログにコピペすることにした。
今回、私が取り上げたのは、「銃・病原菌・鉄」。数年前にベストセラーになった本だ。人文学系の本ながらも、ミステリーを読み解くような面白さに満ちている。環境が人類の文化に大きな影響を与えるという意味で、都市計画のバックグラウンドの教養として適してると思ったのだ。
と。前置きはここまで。レジュメは、ここから。
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本のタイトル「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 」

●本書の概要
  • 著者:ジャレド・ダイアモンド(カリフォルニア大医学部教授、生理学から進化物理学、生物地理学まで研究対象が広い)
  • 倉骨彰 (翻訳)
  • 草思社
  • 2000年
●この本が書かれたきっかけ
あるニューギニア人との対話から起こった
「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」  
という疑問に対する一つの答えとして書かれた。
●銃・病原菌・鉄:ヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因
  • スペイン人とインカ帝国の衝突
 スペイン人:ピサロ。たった60人の騎兵と106人の歩兵
 インカ帝国:皇帝アタワルパ。八万の兵士。
 → スペイン人は、アタワルパは捕虜にし殺害、八万の兵士をほとんど殺害。
 ヨーロッパ人が新世界を植民地化できた要因
  • 銃器・鉄製の武器
  • 騎馬に基づく軍事技術
  • ユーラシアの風土病・伝染病に対する免疫 ヨーロッパから移住者たちが持ち込んだ疫病は、彼らが移住地域を拡大するより速い速度で南北アメリカの先住民部族のあいだに広まり、人口の95%を葬り去った.
  • ヨーロッパの航海技術
  • ヨーロッパ国家の集権的な政治機構:船の建造資金等を集めたり、船の設備をととのえることを可能にした。インカ帝国の官僚組織は、神聖視されていた君主の死後、崩壊してしまった。
  • 文字をもっていたこと:スペイン側は人間の行動や歴史について膨大な知識を継承していたが、 アタワルパ側は読み書きができず、海外からの侵略者についての経験がなかった。  
●人類の長い歴史が大陸ごとに異なる理由
 それぞれの大陸に居住した人びとが生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたから。
要因1 栽培化や家畜の候補となりうる動植物の分布状況が大陸によって異なっていた
・食料生産の実践が余剰作物の蓄積を可能にしたからであり、余剰作物の蓄積が非生産者階級の専門職を養うゆとりを生みだしたからであり、人口の稠密な大規模集団の形成を可能にした。
・人口の稠密な大規模集団の形成が、技術面や政治面での有利につながる前に、軍事面での有利につながった。
・発達段階で初期の首長社会を超えるレベルに達していた社会は食料生産のうえに成り立ち、経済的に複雑なシステムを擁して、階級的に文化史、政治的に集権化されていた。
要因2 伝播や拡散の速度が大陸ごとに異なっていた
・ユーラシア大陸は、東西方向に伸びる陸地であり、生態環境や地形上の障壁が他の大陸よりも比較的少なかった。
・作物や家畜の育成は気候によって大きく影響される。作物や家畜の育成は緯度のちがいによって大きく影響されるために、東西方向に伸びる大陸では作物や家畜がもっとも伝播しやすかった。
・アフリカ大陸、南北アメリカで大陸:陸地が南北方向に緯度をまたいで広がっていることと、地形や生態環境上の障壁が大きかったことのために、伝播に時間がかかった。
要因3 異なる大陸間での伝播のしやすさ
・過去6000年間では、ユーラシア大陸からサハラ近縁地域への伝播がもっとも容易だった。そのため、アフリカ大陸の家畜のほとんどはユーラシア大陸から伝わったものである。 ・南北アメリカ大陸は、低緯度地帯は大きな海洋によってユーラシア大陸から隔てられており、高緯度地帯は狩猟採集にしか適さないという問題を抱えていた。そのため、ユーラシア大陸から南北アメリカ大陸に伝わり、南北アメリカ大陸の社会の発達に寄与したものは何もなかった。  
・オーストラリア大陸のアボリジニは、インドネシア海域によってユーラシア大陸から隔てられていた。
要因4 それぞれの大陸の大きさや総人口のちがい
・面積の大きな大陸や人口の多い大陸では、何かを発明する人間の数が相対的に多く、競合する社会の数も相対的に多い。
・利用可能な技術も相対的に多く、技術の受け容れをうながす社会的圧力もそれだけ高い。
・新しい技術を取り入れなければ競合する社会に負けてしまうからである。
●なぜ中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのか
  • 肥沃三日月地帯や中国は、後発組のヨーロッパの数千年先をいっていた。
  • 肥沃三日月地帯がリードを失ってしまった理由:この地域の人々が初めの一歩を早く踏み出せたのは、適性のある野生種に恵まれていたからという点だけ。 環境的に脆弱。植物が再生しにくい土地。
  • 中国:中世の中国は技術の分野で世界をリードしていた。
    →政治的な統一が早かったため、様々な技術を禁じ、後退させてしまった。
      権力闘争の影響。
            船団の派遣の中止、15世紀末以降、あらゆる機会や技術から手をひいた。
  • 対照的に、ヨーロッパは政治的に統一されていなかった。
●本書の課題
  • 定量的な分析が不十分。
  • 日本に関する記述は、不適切だと思われる。このように、私にはわからないが、他の記述でも不適切な考察が多数ある可能性がある。 (例:日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用をいまだにやめようとしない)
  • 日本語版の単行本の問題点として、参考文献リストがない。

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コメント

こんにちは、いつぞや大門玉手箱でお会いしたマツイです。私もダイヤモンドさんの『銃・病原菌・鉄』をおもしろいなあと思って、ついこの間『昨日までの世界』を読み終えたところでした。『文明崩壊』も再読したいと思っています。
どこかでまたお目にかかれないかなあと思っていますがなかなかですね(笑) いつか、楽しみにしています。

投稿: マツミチ | 2013年6月 7日 (金) 13時04分

マツミチさま
こんにちは。
マツミチさんとは読書の傾向が似通っていますね。
生活圏が似ているので、気づかないうちにすれ違っていることもありそうです。
また、どこかでお会いできるとおもいますので、その時はよろしくお願いします。

投稿: t80935 | 2013年6月11日 (火) 11時53分

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